⚪︎基本情報
グリシンとは体内で合成することができる非必須アミノ酸の一種となります。
アミノ酸の中でも最も小さく、単純な構造を持ち、体内ではセリンやスレオニンから合成されています。また、DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)などの核酸の合成にも必要な成分で、全身に酸素を運搬するヘモグロビンや、筋肉の収縮のためのエネルギー源となるクレアチンの原料としても使用されています。グリシンは、脊椎や脳幹に多く存在し、中枢神経で抑制系の神経伝達物質として働いたり、睡眠の質を高め、不眠を改善したり、活性酸素を抑えることで、肌の質を改善したりするなどの効果を持ちます。
グリシンはコラーゲンを構成するアミノ酸で、コラーゲン中の約3分の1を占めており、美肌を保つ効果だけでなく、コラーゲンが存在する関節などにも重要な働きを持ちます。また、抗酸化作用があることから、生活習慣病や老化の原因となる活性酸素の生成を抑制しています。
グリシンはコレステロール値を下げる効果もあるため、高血圧や脳卒中の予防にも役立っています。さらに、湿疹や皮膚炎、口内炎の改善に用いられる医薬品の原料としても活用されます。
⚪︎グリシンの過剰症・欠乏症
グリシンは日常生活で、過剰摂取することはないと考えられていますが、動物実験の結果、過剰摂取することで、呼吸筋のマヒが起こる可能性があることがわかりました。
一方、グリシンが欠乏すると不眠症になる可能性が高くなります。また、コラーゲンを合成する重要な成分であるため、体内でのコラーゲン合成が滞り、膝や腰などの関節痛や、肌荒れを引き起こしやすくなります。
妊娠中の方や母乳授乳期の胎児に対する安全性は確定していないため、摂取する際には注意する事が必要です。また統合失調症の治療薬にクロザピンを用いている場合は、グリシンを併用するとその効果が弱まる恐れがあるとされています。
⚪︎アミノ酸の中でのグリシン
アミノ酸は、構造の違いによりL型とD型の2種に分類されています。グリシンは人間の体を構成する20種類のアミノ酸で唯一、L型とD型の区別が無いものになります。L型のアミノ酸とは通常人間のたんぱく質を構成するもので、D型のアミノ酸の多くは微生物に含まれます。
⚪︎睡眠に対する効果
グリシンは血管を拡張させ、表面体温の上昇を促すことで体内の熱を放出し、体の中心温度を下げる効果があります。体は眠りに入ろうとするとき、自然と体の内部の温度を下げるので、グリシンは自然な睡眠を導く効果を持ちます。
グリシンは睡眠に入りやすくするだけではなく、睡眠の質も高める働きも持ちます。
睡眠不足の方を対象に、寝る前に、グリシンを含む食事と含まない食事を摂取させ、翌朝の作業効率と眠気を比較した結果、グリシンを摂取した方が疲労感や眠気が減り、パソコンを使った作業の効率が良くなるという結果が出ました。
グリシンを摂取することによって、質の良い眠りの証拠であるノンレム睡眠の時間が増加するだけでなく、ノンレム睡眠の中でも特に睡眠が深くなっている「徐波睡眠」により早く到達することが分かっています。このことからもグリシンは睡眠の質を向上すると言えます。
また、グリシンによって良質な睡眠を得ることで、睡眠中に生成される身長の伸びや、筋肉の形成を促す成長ホルモンの分泌を促す効果も持ちます。
⚪︎抗うつ効果
グリシンは、脳内神経伝達物質であるセロトニンを増加させることが分かっています。セロトニンは脳内で不足するとうつ症状を引き起こすことが分かっています。グリシンがセロトニンを増加させることにより、抗うつ作用を持つと報告が上がっています。
⚪︎美肌効果
グリシンは、皮膚のコラーゲンを生成するアミノ酸のうち約3分の1を占めます。
肌は表面から厚さ約0.01mmの角質層、約0.1mmの表皮層、2~3mmの真皮層に分かれます。コラーゲンは肌の真皮層の大部分を占めており、肌の弾力を支える重要な成分となります。グリシンは、そのコラーゲンを構成しているため、肌のハリや弾力を保つのに必要な成分といえるでしょう。
また、角質層の細胞はケラチン繊維と線維間物質から構成されており、線維間物質に肌の潤いを保持する天然保湿成分(NMF)が存在しています。グリシンをはじめとするアミノ酸は、天然保湿成分(NMF)の約40%を占めており、肌荒れを起こしやすい人は角質層に含まれるアミノ酸が不足しているということがあげられています。