⚪︎基本情報
セリンとは体内で合成できる非必須アミノ酸の一種で、シルクプロテインに含まれるセリシンの主要な構成物質となります。セリンは、核酸の原料となるプリンやピリミジンなどの生合成に関与しています。
自然界にアミノ酸は500種類以上存在しますが、人間のたんぱく質を構成するものはわずか20種類だけです。セリンは人間のたんぱく質を構成している重要なアミノ酸の一つです。
⚪︎セリンの過剰症・欠乏症
セリンは過剰に摂取しても、代謝されるため蓄積されることはないとされています。また、セリンが不足すると、肌荒れやしわの原因となってしまいます。
セリンは、脳のエネルギー源となるブドウ糖を供給するホスファチジルセリンの原料にもなっています。ブドウ糖は思考したり、集中力を持続するために必要な成分となります。そのためセリンの不足は、ホスファチジルセリンの不足にもつながり、認知症やアルツハイマー病が進行する可能性があります。
⚪︎セリンの働き
セリンは肌の角質層に最も多く存在し、肌の潤いを保つ効果を持ちます。
また、脳の細胞を構成する神経細胞の材料となり、健康な脳を維持する働きがあります。
セリンは、糖原性というグルコースを生成する性質を持つアミノ酸としても働いています。グルコースとは、人間が生きる上で必要なエネルギー源となる糖質の事です。
セリンはリン脂質を生み出すために必要になります。リン脂質は、細胞膜をつくる主成分で、体内で脂肪が運搬・蓄積される際に、たんぱく質と結びついて血液中を移動します。
さらに、セリンをはじめとするアミノ酸は、D-セリンやL-セリンのように構造の違いからD型とL型に分けられており、近年の研究から、D-セリンの不足が統合失調症の症状と関わっていることが明らかとなりました。
また、セリンは脳の働きを支えるアミノ酸でもあり、セリンは、脳を構成する神経細胞の材料で、認識や知覚といった重要な脳の働きを支えています。また、外部からの刺激を脳のシナプスに伝える神経伝達物質であるアセチルコリンを生成しています。アセチルコリンは副交感神経の末端から分泌され、自律神経において重要な役割をしています。
→→シルクにおけるセリンの働き
カイコの繭から採った精錬されていない絹糸を生糸といい、シルクとはこの生糸を精練したものとなります。生糸は、たんぱく質から構成された2本のフィブロイン繊維を、セリンを含むセリシンが包んでいる構造を持ちます。セリンによってシルクの滑らかさは生まれています。
また、高い保湿力を持つセリンを含むシルクは、ブラウスやシャツなどの高級衣料品として利用されるだけでなく、シャンプーなどにも使用されます。
⚪︎美肌・美白効果
セリンは肌の角質に存在し、肌の水分を保つ天然保湿成分(NMF)に最も多く含まれる成分として、化粧品にも配合されます。
肌は表面から厚さ約0.01mmの角質層、約0.1mmの表皮層、2~3mmの真皮層に分かれています。肌が乾燥している状態とは、角質層が水分を保っていない状態のことを言います。わずか0.01mmの薄い角質層がウイルスや細菌などの異物から体を守り、肌へのダメージを抑えています。その上、肌の水分が逃げないように水分を保持してくれています。
角質層の細胞はケラチン繊維と線維間物質から構成されており、線維間物質に肌の潤いを保持する天然保湿成分(NMF)が存在しています。セリンをはじめとするアミノ酸は、天然保湿成分(NMF)の約40%を占めており、皮膚の保湿と健康を保つ働きがあります。
また、セリンは体内でシステインに変換され、システインは非必須アミノ酸の一種で、毛髪や皮膚、爪の多く存在し、肌の生まれ変わりを促進しています。また、シミやそばかすの原因となるメラニンの形成を抑制するため、美白にも効果的な成分となります。
⚪︎アルツハイマー病を予防する効果
セリンは、脳のエネルギー源となるブドウ糖を供給するホスファチジルセリンを生成し、認知症やアルツハイマー病の進行を抑制し、健康な脳を維持する効果を持ちます。ホスファチジルセリンは記憶力の向上や、加齢による認識脳の低下や記憶障害、アルツハイマー病に効果があるとされています。
⚪︎睡眠を促す効果
セリンには神経系において重要な働きをすることから、良質な睡眠をもたらす効果が期待出来ます。
睡眠に満足していない人に対して、就寝前にセリンを毎日摂取させたところ、寝つき、夜中や早朝に目が覚める、目覚めた時の頭のすっきり感、睡眠に対する満足感などが改善されたそうです。さらに摂取している間でも後半になるにつれ、睡眠の質が改善すると言われています。
この研究から、セリンには寝つきの改善や睡眠途中での覚醒改善など、良質な睡眠をもたらす効果があると判明しています。