⚪︎基本情報
トリプトファンとは、牛乳から発見された必須アミノ酸のひとつとなります。乳製品や大豆製品、ナッツ類などの様々な食物中のたんぱく質に含まれます。食物から摂取されたトリプトファンは、肝臓や腎臓で分解され、エネルギー源となります。また、トリプトファンは脳に運ばれると、ビタミンB6やナイアシン、マグネシウムとともにセロトニンを生成しています。このセロトニンが不足すると、睡眠障害やうつ状態、不安感などが引き起こされる可能性が高くなります。脳内のトリプトファン濃度が高まるとセロトニンが増えるとされ、催眠剤や鎮痛剤としての効能が期待されます。アメリカでは栄養補助商品として販売され、不眠の解消や精神安定効果を期待する人々に利用されます。
⚪︎トリプトファンの過剰摂取
トリプトファンを多く含む食材として挙げられるのは、牛・豚・鶏のレバー、小麦胚芽、牛乳、チーズ、バナナ、大豆、アーモンド、かつお、まぐろなどがあります。これらの食材を食事に取り入れると、不眠やうつ病などの解消を促す効果が期待できます。トリプトファンは体内で合成されない必須アミノ酸であるため、毎日摂取しなければなりませんが、体が必要とする以上に摂取してしまうと、肝臓で脂肪の変化が起こり、肝硬変を招く可能性が高くなります。ラットによる実験で、トリプトファンは肝臓の脂肪に変化を引き起こすことがわかりました。肝硬変の患者の場合、長期的に摂取すると脳内にトリプトファンが増えてセロトニンが過剰になり、脳の機能が低下して昏睡状態に陥ってしまう恐れがあります。トリプトファンは催眠剤や鎮静剤に用いられますが、長期に渡っての服用は危険とされています。
⚪︎トリプトファンを摂取する際の注意点
トリプトファンの適量摂取は、精神を落ち着かせ不眠やうつ病などの解消を促してくれますが、過剰な摂取や疾病、それに伴う服薬などとの組み合わせにより、副作用が起こる可能性が高くなります。
うつ病治療の抗うつ剤との組み合わせにより、血圧や心拍数の変化や脳血管収縮障害などが起こる場合がありますので、投薬・服薬をしている場合は、事前に医師への確認が必要となります。
⚪︎不眠を解消する効果
トリプトファンは脳に運ばれると、ビタミンB6やナイアシン、マグネシウムとともに神経伝達物質であるセロトニンをつくる原料となっています。セロトニンには寝つきを良くする睡眠効果や、興奮や不快感を鎮めて精神を安定させる効果があり、不足すると睡眠障害や不安感が現れやすくなります。
セロトニンは、脳の松果体でメラトニンに変換されます。メラトニンは体内時計の調整を行う働きがあり、睡眠サイクルを正常にしたり、時差ぼけに効果があるなど睡眠と密接な関係があります。アメリカではトリプトファンは天然の催眠剤として、催眠効果や精神安定効果を期待する人々に人気です。
⚪︎アンチエイジング効果
トリプトファンには、体内で発生した活性酸素を除去する作用があることから、アンチエイジングの効果があるとされます。「若返りの薬」ともいわれるメラトニンの分泌量は年齢を重ねるほど減少するといわれており、脳内のトリプトファン濃度が高まればセロトニンが増えてメラトニンとなり、老化防止に効果が期待されます。
⚪︎鎮痛効果
アメリカのテンプル大学健康科学センターで、トリプトファンが鎮痛剤としての働きを持つことを証明する実験が行われました。あごに慢性的な痛みをもつ患者のグループにトリプトファンを投与してセロトニンの濃度を高めたところ、痛みの軽減に加え、歯に痛みが加えられたときの耐性も強くなったとの報告があがられています。
⚪︎集中力、記憶力を高める効果
トリプトファンは、ドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質をつくるために、チロシンと一緒になって働いています。ドーパミンとノルアドレナリンとは、ホルモン調節に関わり、気分を高揚させてやる気を生み出すホルモンとなります。これまでの研究では、脳や行動障害の治療に役立つことが分かっており、不眠症やうつ病治療への効果も期待されます。オハイオ州立大学医学部の研究によれば、子どもたちに1週間トリプトファンを与えたところ、学習能力について良い結果が得られたという報告もあげられています。
⚪︎月経前症候群(PMS)を改善する効果
トリプトファンを摂取することで、鎮痛作用や精神を安定させる効果があるため、月経前のイライラや体の不調を改善できる効果があるとされています。
⚪︎その他の効果
免疫系に働きかけ、コレステロール値や血圧を調整する、性機能を高める、更年期障害の症状を緩和するなど多くの効果があげられています。