⚪︎基本情報
アスパラギン酸は、アスパラガスに多く含まれるアミノ酸の一種で、体内でのエネルギー生成を促進し、疲労を回復させたり、毒性を持つアンモニアを体外へ排出する働きを持ちます。また、カリウム、マグネシウムなどのミネラルを細胞に運びこむ働きがあります。
アスパラギン酸は、中枢神経で働く興奮系の神経伝達物質でもあり、大脳皮質や小脳、脊髄に存在し、水にやや溶けにくい性質があります。またコンブなどに含まれるうま味成分でもあります。
アスパラギン酸は、経口・経腸栄養剤やアミノ酸輸液などに用いられます。ヨーロッパではアスパラギン酸を多く含むアスパラガスの根が利尿剤として使用されています。
また、アスパラギン酸はアミノ酸を利用した甘味料アスパルテームの材料でもあり、アスパルテームはフェニアラニンとアスパラギン酸が結びついたもので、砂糖の200倍の甘みがあるにも関わらず、砂糖よりもはるかにカロリーが少ないため、世界中でキャンディやチューインガム、清涼飲料水などに使用されます。
⚪︎アスパラギン酸の欠乏症と過剰症
アスパラギン酸が欠乏すると、エネルギーを生み出しにくくなるため体が疲れやすくなり、さらに、アスパラギン酸の働きであるアンモニアの排出が滞ることで血中のアンモニア濃度が高まり、肝性脳症などのリスクが高くなります。アスパラギン酸はたんぱく質の代謝に欠かせない成分なので、摂取すると、すぐに代謝活動で消費されると考えられます。
アスパラギン酸は過剰摂取の問題がほとんどないとされています。
⚪︎D型アスパラギン酸とL型アスパラギン酸
アミノ酸は、構造の違いによりL型とD型の2種に分けられます。一般的に人間のたんぱく質を構成するアミノ酸は、すべてL型のアミノ酸であると考えられてきましたが、近年の研究結果により、紫外線などの影響でL型がD型に変化し、老化の原因のひとつとなることが明らかになりました。つまり、たんぱく質の中にD型のアミノ酸が発生すると、たんぱく質の機能低下を招くことがわかりました。
水晶体や脳においてD型アスパラギン酸が増えると、白内障やアルツハイマー病に深く関わるとされています。
また、アミノ酸はD型とL型で味が変わり、L型のアミノ酸は苦み、D型のアミノ酸は甘みを呈するものが多いようです。中でも必須アミノ酸は苦みを呈するものが多いとされています。そんな中、必須アミノ酸ではありませんが、体内で重要な働きをするアスパラギン酸はうま味を持つアミノ酸として、様々な食材に含まれます。
→→アミノ酸系うま味成分「アスパラギン酸」
アスパラギン酸は、昆布やチーズなどに含まれるうま味成分として有名なグルタミン酸と同様、うま味成分のひとつとなります。ここでいううま味とは、人間がおいしいものを食べたときに感じる感覚的なものではなく、甘み、塩味、苦み、酸味と同様の基本5味のひとつをいいます。
うま味を感じさせるうま味成分には、アミノ酸系と核酸系のものがあり、アスパラギン酸は、アミノ酸系であり、その中でも酸味を含むうま味成分となります。このアスパラギン酸が、日本人が古くから親しんできた発酵調味料である醤油や味噌のうま味の正体だとされています。
⚪︎疲労回復効果
アスパラギン酸は、クエン酸回路に働きかけ、疲労のもととなる乳酸の分解を促進する働きがあります。
クエン酸回路は、炭水化物(糖質)の代謝の要であり、エネルギーをつくり出す重要な機能となります。クエン酸回路がうまく回らなかった場合、乳酸が蓄積し、疲労が溜まってしまいます。乳酸は筋肉疲労の原因となり、大量に蓄積されると体の冷えや頭痛などを引き起こします。
クエン酸回路を効率的に回すには、カリウムやマグネシウムといったミネラルが必要となります。仮にクエン酸回路がうまく回っていない状態で、エネルギー源となる糖質を摂取してもエネルギーをつくり出すことができません。
アスパラギン酸は、カリウムやマグネシウムを細胞に取り込みやすくし、クエン酸回路を円滑に回すことで、乳酸をエネルギーに変換し、疲労を回復させる効果を持っています。
さらにアスパラギン酸はグリコーゲンの生成を促進してくれます。グリコーゲンは筋肉や肝臓に蓄積し、必要な時にエネルギーに変換されるため、グリコーゲンの不足は、スタミナの低下を招いてしまいます。アスパラギン酸はこのようにエネルギー源となるグリコーゲンの生成を促すため、スタミナの向上効果にも期待できます。
⚪︎体調を整える効果
アスパラギン酸は人間の体液のバランスを整えてくれます。
人間の体は約50~70%が水分でできていて、水分の内、約3分の2が細胞内液、約3分の1が細胞外液として存在し、両者のバランスによって体調が変化しています。人間は日常でストレスが溜まったり、病気にかかると細胞内のビタミンやミネラルを消費して、その結果、体液のバランスが乱れてしまい、体調不良を起こしてしまいます。アスパラギン酸は不足しているカリウム、マグネシウムを細胞の中に運び、体液のバランスを整える効果を持ちます。さらに、アスパラギン酸の働きにより代謝が活発になり、エネルギーを効率良く産生をすることが可能です。
⚪︎アンモニアを解毒する作用
アスパラギン酸は尿の合成を促進する効果があり、有毒なアンモニアを体外へ排出してくれます。
アンモニアはたんぱく質の分解によって生じ、健康な体の場合は尿中へ溶け出し、体外へ排出されていきます。アンモニアが体内に蓄積されると、神経伝達物質の働きが阻害され、さらには脳症などを引き起こします。また、アンモニアは細胞の中にあり、エネルギーをつくり出す器官であるミトコンドリアの働きを衰えさせ、その結果、アンモニアの量が過剰に増えることで、エネルギーがうまくつくり出せず、疲労の蓄積や組織の老化、免疫力の低下を引き起こしてしまいます。アスパラギン酸はアンモニアを排出する働きがあり、肝臓の負担を減らすとされています。
⚪︎スキンケア効果
アスパラギン酸は肌の新陳代謝を促進し、保湿をする効果を持ちます。
人間の肌は日々生まれ変わりを繰り返すことで、健康な状態を維持します。この生まれ変わりを新陳代謝と呼びます。また、アスパラギン酸は角質の水分を保持し、肌の潤いを保ってくれます。そのため、保湿剤や肌荒れ防止剤、皮膚コンディショニング剤にも使用されています。