日本人の食事で不足しがちなミネラルのひとつにカルシウムがあります。カルシウムは便や尿と一緒に排泄されるため、毎日欠かさずに摂取したいものです。サプリメントや栄養補助食品の中に、カルシウムを含んだものがあるのも、不足しがちだからこそ意識して摂取したい栄養素だからという事が理由の一つです。
カルシウムは、さまざまな食材に含まれており、バランスの良い食事をして摂取することが大切です。そこで今回は、カルシウムの摂取目安量とカルシウムを多く含む食品を見てみましょう。
カルシウムはヒトの体内におけるさまざまな組織に存在しています。その量は、ヒトの体に存在するミネラルでもっとも多く、体重の1~2%がカルシウムと言われております。
⚪︎全世代で不足しがち
日本人のカルシウム摂取量は不足しがちといわれますが、どのくらい不足しているのか。2019年の「国民健康・栄養調査」によると、全年代の1日の平均摂取量は男性520mg、女性509mgとなりました。この数値は、全年代の推奨量には足りない数値となります。
カルシウムの食事摂取基準の推奨量と比べると、年齢の分け方が異なるのでひとまとめにはできませんが、ほぼ全ての年代でカルシウムが不足していることがわかりました。また、7~14歳の男性と女性のカルシウム摂取量が多いのは、学校給食でバランスの整った食事をしているからと言われております。
⚪︎ほかのミネラルとのバランスが影響
カルシウムを効率良く摂るには、3回の食事をバランスよく食べることが大切になります。野菜、海藻類、乳製品、大豆製品など、幅広い食材を摂取することで、カルシウムの摂取量も満たされると考えられております。
また、冒頭でも少し解説したように、カルシウムを多く含む食品を一度にたくさん摂取しても、吸収できるカルシウム量は限られます。一度にまとめて摂るのではなく、毎日一食ずつ、コツコツ摂ることがポイントです。
⚪︎過剰摂取の影響
栄養素を意識すると、過剰摂取も気になる方もいると思います。過剰摂取にならないために、18歳以上の男性と女性ともに耐容上限量2,500mgが目安となります。「耐容上限量以上摂取した場合には、過剰摂取による健康障害が生じる潜在的なリスクが存在することを示す量」として設定されておりますが、数値を超えたからといって、必ず過剰症が起こるわけではないです。
日本人の食生活から考えると、耐容上限量を超えることはほとんどないといわれています。しかし、栄養補助食品などでカルシウムを摂取している場合には注意が必要となります。
3回の食事からカルシウムを十分に摂取するには、どのような食品を選べばいいのか。カルシウムを多く含む食品には、牛乳・乳製品、大豆製品、魚介類、野菜・海藻類などがあげられます。食品によってカルシウムの吸収率が異なるため、その特徴も理解する事が必要です。
⚪︎牛乳・乳製品
カルシウムを多く含み、吸収率が高いのが牛乳・乳製品となります。学校給食に牛乳200mlが毎日提供されている理由の一つは、手軽にカルシウム摂取ができるためとされています。普通牛乳200ml中に含まれているカルシウムは220mgとなります。
そんな牛乳を原料にしたチーズ、ヨーグルト、アイスクリームなどの乳製品も、カルシウムを豊富に含みます。牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする乳糖不耐症の方も、乳糖が分解されているチーズなどの乳製品であれば取り入れやすいかと思います。
プレーンヨーグルト100g中には120mg、プロセスチーズ1個分25gには158mgのカルシウムが含まれていますから、日常的に牛乳・乳製品を摂取していると、カルシウムの1日の推奨量に近づきやすくなります。
⚪︎大豆製品
牛乳・乳製品の次に吸収率が良いのは、豆腐や油揚げ、納豆などの大豆製品となります。和食でおなじみの大豆製品は、タンパク質も豊富に含んでおります。
木綿豆腐約1/3丁の100gには、カルシウムが86mg含まれ、納豆1パック50gには45mg含まれます。牛乳・乳製品と比べるとカルシウム含有量は少ないですが、食べる頻度を考えると、優秀なカルシウム補給源となる食品となります。
⚪︎魚介類
魚介類のカルシウム吸収率は、牛乳・乳製品や大豆製品には劣りますが、日本人の食生活に取り入れやすい食材です。海に囲まれている日本は、魚介類の種類も豊富になります。
魚介類の種類によってカルシウム量は異なり、骨まで食べられる小魚や、殻ごと食べる小エビ、うなぎや貝類などに多く含まれます。また、手ごろに食べることができるサバの缶詰なども、骨まで柔らかくなって食べることができるため、カルシウムの補給ができる食材となります。
しらす干し5gには、カルシウムが10.5ⅿg、サバの水煮缶1個80gには208mg含まれます。
⚪︎野菜・海藻類
野菜や海藻に含まれているカルシウムの吸収率は、それほど高くはないです。しかし、ビタミンやミネラル、食物繊維など、体の調子を整える栄養素の摂取が期待できるので、バランス良く食べたい食品となります。
カルシウムが多く含まれているものは、モロヘイヤ、小松菜、水菜、昆布などとなります。モロヘイヤ100gにカルシウムは260mg、小松菜100gには170mg含まれます。葉物野菜は加熱してカサを減らすとたくさん食べられますから、積極的に取り入れると良いでしょう。
⚪︎ビタミンDを含む食品を一緒に摂取する
カルシウムを含む食品とともに摂取したいのが、ビタミンDとなります。ビタミンDは、きのこ類や魚に多く含まれているほか、日光に当たることで体内でも合成されます。カルシウムの吸収促進や骨の代謝に関わっているので、カルシウムと一緒に摂取すると効果的です。
きのこと鮭を具にしたクリームシチューや、シイタケの肉詰めにチーズを乗せたりすると、カルシウムとビタミンDを一緒に摂取しやすくなります。
不足しがちなカルシウムは、意識して摂りたい栄養素となります。バランスの良い食生活を基本に、カルシウムを含む食品を意識して取り入れてみましょう。
1食の量が多くなってしまう場合は、間食として牛乳やヨーグルト、チーズなど、調理をしなくても食べられる食材にもカルシウムは含まれていますので、手軽に取り入れてみましょう。