ナイアシンは健康的な身体を維持するために重要な役割を持ちます。ナイアシンが不足すると、健康に関するさまざまな悪影響が生じる可能性があるので、注意が必要になります。
今回は、ナイアシンの働きなどについて見てみましょう。
ナイアシンは、ニコチン酸とニコチンアミドの総称になります。水溶性ビタミンに分類され、体内で脂質、アミノ酸の代謝などをサポートするほか、酸化還元反応に関わる補酵素としての役割を持ちます。
ナイアシンを摂取するには、食品からの摂取と、必須アミノ酸であるトリプトファン由来の方法があります。
トリプトファンからの摂取方法としては、体内で必須アミノ酸のトリプトファンから生合成ができるほか、食品に含まれるトリプトファンの1/60がナイアシンに変化することで摂取が可能とされます。
⚪︎ATP産生への関与
ナイアシンを構成するニコチン酸やニコチンアミドは、体内でピリジンヌクレオチドと呼ばれる物質に生合成されたあと、さまざまな作用を呈します。その作用の一つが、ATP(アデノシン三リン酸)の産生への関与になります。
ATPは、筋肉の収縮など生命活動維持のためのエネルギーを蓄えたり、利用したりすることに関わる物質になります。しかし、体内に貯蔵できるATPはごくわずかだとされ、身体のなかではATPを産生するさまざまな仕組みがあります。ナイアシンも分解していく過程で、そのATPの産生の仕組みに関わります。
⚪︎神経保護的作用
ナイアシンは、マクロファージと呼ばれる細胞から有効な物質の産生を促し、神経保護的に作用するとされています。
⚪︎ナイアシンが不足することで生じる症状
ナイアシンは不足すると、皮膚炎や下痢を発症するとされています。
ナイアシン不足は、トリプトファンの含有量が少ないとうもろこしを主食としている地域によく見られるそうです。日本を含む先進国においては、アルコール依存症によってナイアシン不足が見られるケースも報告されています。
⚪︎ナイアシンの過剰摂取について
ナイアシンを構成するニコチンアミド、ニコチン酸は、食品中におおむね以下の量が含まれます。
・ニコチンアミド
動物性食品に多く見られ、多くても可食部100g中10mgほど
・ニコチン酸
植物性食品に多く見られ、多くても可食部100g中数mgほど。
上記のことから、通常の食品を摂取していれば過剰摂取とはならず、健康被害につながったという例もありません。ナイアシンの過剰摂取が起きる要因として、ナイアシンの強化食品などを摂取している場合が可能性としてあがります。
ナイアシンを構成するニコチン酸を過剰摂取した場合、一時的に顔の紅潮、かゆみなどが出現します。強化食品などでナイアシンを摂取する場合には、過剰摂取に注意し、体調変化が起きたら医療機関へ受診するようにしましょう。
ナイアシンは、ATP産生への関与、神経保護作用などがおもな働きとなります。不足すると皮膚炎や下痢が現れるので、不足しないように注意しましょう。
ナイアシンは通常の食生活では不足しませんが、偏った食生活やアルコール依存症などで不足する可能性があるので、バランスの良い食生活を意識しましょう。